スマートフォンの普及とともに、企業と顧客の接点として注目されているのが「公式アプリ」です。近年導入が進み、ブランド強化や売上向上の手段として不可欠な存在になりつつあります。
この記事では、「公式アプリとは何か?」という基本的な定義から、種類ごとの特徴、導入によるメリット、具体的な作成方法、さらに導入事例やおすすめの公式アプリ作成サービスまで、網羅的に解説します。
目次
- そもそも公式アプリとは
- アプリの種類
- 公式アプリを導入するメリット
- 公式アプリを作る方法
- 公式アプリの事例5選
- 個人・小規模から公式アプリを作成する方法
- まとめ
そもそも公式アプリとは
公式アプリとは、企業や団体などが自社の名義で提供するスマートフォン向けのアプリを指します。App StoreやGoogle Playといったプラットフォームを通じて公開され、顧客がダウンロードし利用できるようになっています。
企業のWebサイトやSNSと異なり、公式アプリは顧客のスマートフォンに常時置かれ、通知や位置情報などの機能を活用して、より継続的かつ個別性の高いコミュニケーションを実現できます。ポイントカードやクーポン、予約機能、ニュース配信などの機能を持たせることで、店舗集客や顧客管理に役立てる企業も増えています。
また、企業が公式に提供することで信頼性を担保できるのも大きな特長です。非公式アプリや模倣アプリとの差別化を図り、安心して使える媒体として顧客に認識されやすくなります。
アプリの種類
公式アプリを開発する際には、大きく3つの種類から選ぶことになります。
それぞれの特性を理解し、目的や予算に応じて適切な選択をしましょう。
ネイティブアプリ
iOSやAndroidといった各プラットフォーム専用に開発されるアプリをネイティブアプリといいます。動作が軽快で、高度な機能や操作性を実装しやすいというメリットがあります。カメラ、GPS、通知機能など、スマートフォンの機能と密接に連携できるのが強みです。
ただし、OSごとに開発が必要になるため、開発コストや工数がかかる傾向があります。
Webアプリ
Webアプリは、Webブラウザを通じて動作するアプリで、HTMLやJavaScriptなどを用いて開発されます。アプリストアを通さずに提供できるほか、OSに依存せず一つのソースコードで複数の環境に対応できる点が魅力です。
一方で、スマートフォンの機能(通知、GPSなど)との連携には制限があり、ユーザー体験の面でネイティブアプリに劣る部分もややあります。
ハイブリッドアプリは、Web技術で作成したアプリをネイティブのコンテナに組み込んだもので、Webアプリとネイティブアプリの中間的な存在です。OSごとに開発し直す必要がなく、比較的低コストで多機能なアプリが作れるのが特徴です。
ただし、複雑な処理や重いグラフィックには向いていないケースもあります。
公式アプリの導入には、多くの利点があります。
アプリを通じてプッシュ通知を送ることで、顧客に直接情報を届けることが可能になります。キャンペーンやセール情報、新商品の案内などをリアルタイムで配信でき、リピーターの育成につながります。
プッシュ通知はメルマガと比べ情報が埋もれにくく、常にスマホ上に通知が残る状態を作ることでというメリットもあります。
アプリのデザインや機能はそのままブランド体験の一部となります。
企業のロゴやカラー、デザインなどを統一させ、便利な機能を提供することでブランドへの信頼や愛着を育むことができます。
また、アプリ限定の特典や情報を提供することで、でき、他社との差別化にもつながります。
公式アプリでは、顧客の利用状況や購買履歴などのデータを収集することができます。たとえばどの時間帯に使われているか、どんなページがよく見られているかなどを把握することで、
このようなデータを活用すれば、顧客の興味や行動に合わせたクーポン配信やお知らせが可能になり、よりパーソナライズされた対応ができるようになります。
公式アプリの開発には、大きく分けて2つの作成方法があります。
アプリ開発ツールとは、専門的なプログラミングスキルがなくても、テンプレートやビジュアル操作でアプリを構築できるサービスです。
費用は、管理画面からの更新が簡単で、開発スピードも早く、運用コストも抑えられるため、アプリに不慣れな企業や小規模事業者に適しています。
この場合は自社でエンジニアを抱えるか、外部の開発会社に依頼して、JavaScriptやPHPなどのプログラミング言語でゼロからアプリを開発します。
この方法のメリットは、完全に自由な設計が可能で、高度な機能や複雑なシステム連携が行えるという点です。しかし、かかることが一般的で、さらに保守やアップデートなどのランニングコストも発生します。
ここでは、実際に公式アプリを導入し、成果を上げている企業の例を紹介します。
スターバックスジャパンは、モバイルオーダーや電子マネー決済、ポイント管理を一つにまとめた公式アプリを展開しています。会員数は2024年末の時点で1,500万人を超え、2017年の導入時に比べ、約10倍に達しました。
モバイルオーダーの導入により、注文のスムーズ化と顧客の利便性が大幅に向上しています。また、限定キャンペーンやリワードを活用して顧客のリピート率向上にも成功。これらの成果がブランド強化に大きく寄与しています。
日本マクドナルドは、公式アプリにモバイルオーダー機能と限定クーポンを実装し、店舗での待ち時間短縮と顧客体験の向上を図っています。
2020年3月時点で約6,600万ダウンロードをマークし、2022年には店頭でのモバイルオーダーの利用率は約14%に到達。その数は年々増加傾向にあります。
多様化した注文方法により注文量が増加し、売上拡大だけでなく、顧客の利便性向上とリピーターの増加に繋がり、公式アプリが同社のブランディングに欠かせないツールとなりました。
公式アプリに待ち時間表示やファストパス予約、チケット購入を統合した東京ディズニーリゾート。コロナ禍では非接触決済やデジタルチケット販売の推進にも役立ち、2022年以降の来園者数回復にもプラスの影響を与えました。
これにより、顧客体験のデジタル化を通じたブランド強化の好例となっています。
2025年の決算説明資料によると、美容系口コミサイトと連携し、認知を得てお試しから購入、さらにデリバリーや再購買に至るまで公式アプリ上で完結できるマーケティングプラットフォームの強化に取り組んでいると公表しています。
また、ポイントシステムの導入により顧客の再訪率向上に成功し、ブランドロイヤルティ向上に寄与しています。
ケンタッキーフライドチキンの公式アプリでは、クーポン配信やモバイルオーダーなどを通じて、顧客との接点を強化しています。
特にクーポン施策はリピート率の向上に寄与しており、アプリ経由での注文も可能にすることで、若年層を中心に利便性の高いサービスを展開しています。
大手チェーンの公式アプリは、ブランディングと売上の両面で確かな成果を上げています。
しかしここまでの内容から「開発コストがまかなえない」「ITの専門知識がないと無理そう」といった印象を持つ方も少なくないはずです。
Pokepayは、株式会社ポケットチェンジが提供する独自の公式アプリを作成・運用できるサービスです。です。
独自のポイント付与率設定やプッシュ通知機能が備わっており、顧客の購買行動のサマリーを基に、マーケティング施策に活かすことなども可能です。
さらに、中小規模事業者にとって嬉しいのが、月額990円〜という低コストの利用プランが用意されている点で、もあります。
公式アプリは企業やブランドが顧客とつながるための重要な手段であり、単なる情報発信にとどまらず、を持っています。
今回ご紹介した大手チェーンのように、アプリ開発に数百万円単位以上のコストをかけることが現実的ではないとしても、近年ではノーコードで公式アプリを開発できるサービスが登場しており、「アプリは難しい」「うちには無理」と感じていた企業にも導入の扉が開かれています。
お店のファンを育てたい、もっと顧客とつながる手段が欲しい、と考えるなら、今がまさに、公式アプリという選択肢を前向きに検討できるタイミングといえるでしょう。